平成19年度道路関係予算の概要
国土交通省の平成19年度道路関係予算の概要がまとまった。
本格的なモータリゼーションに対応した道路整備が始まって半世紀、これまでのストックの有効活用の徹底や、急速なストックの高齢化にも対応した施策が求められている。
19年度の道路関係予算は、このような厳しい経済情勢の中、道路の果たす役割を最大限に発揮するよう、以下の観点を基本に、道路行政の原点に立ち戻った改革を推進していく。
具体的には、集中的にスピード感を持った道路行政へ転換し、沿道地域との一体的な整備など他分野との積極的な連携を図りつつ、地域住民との協働によって、より良い道路行政を目指すとしている。
また、このためには、国際競争力の強化、地域の活性化、都市再生、国民の安全・安心の確保、快適で豊かな国民生活の実現といった当面する重点課題に対応する為の事業・施策を積極的に推進するとともに、各事業・施策分野においても、その目的・成果にまで踏み込んだ上で、限られた予算で最大限の効果をあげることが重要としている。
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事業費5兆8,260億円
安全・安心の確保促進(注)財政投融資は、全額政府保証債である
決定概容
(単位:億円)
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重点事項別国費の状況
(単位:億円)
<注>高規格幹線道路の整備及び三大都市圏環状道路整備の前年度の係数には、平成18年度供用区間を含まない
社会資本整備重点計画に即して行う5箇年間の道路整備
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平成15年度以降5箇年間の道路の整備に関する事業の量
(単位:億円)
<注>
- 18年度当初までの累計額は、15年度・16年度・17年度最終、18年度当初の合計である
- カッコ書きは「15年度以降5箇年間の事業量」に対する割合である
- 道路投資額には道路整備特別会計で実施した事業に加え、道路特定財源を活用した関連施策として一般会計で実施した事業
(19年度末累計額:10,780億円)を計上。ただし、本州四国連絡高速道路株式会社から一般会計に承継した債務の処理は含まない - 四捨五入の関係で、各係数の和が合計と一致しないことがある
道路事業の迅速化へ
注目される「道路特定財源」の見直し
下表に示す「道路特定財源の見直し」では、地域間格差への対応や渋滞解消のためのバイパス道路整備等の広域的アクセスの強化をうたいながら、道路特定財源に関しては、道路歳出を上回る税収を一般財源化するという閣議決定(平成18年12月8日)がなされ、さらに今後の国会で法改正が予想されることから、道路整備予算のさらなる精査・抑制が進行するものと思われる。
今後の法改正の動向に注目したい。
道路特定財源の見直しに関する具体策
(平成18年12月8日閣議決定)
我が国の競争力、成長力の確保や地域の活性化のため必要な道路整備を計画的に進めることは、引き続き、重要な課題である。他方、我が国財政は極めて厳しい状況にあり、国民負担の最小化のため、歳出削減を徹底し、ゼロベースで見直すことが必要となっている。
このため、昨年末の政府与党合意、行革推進法等に基づく道路特定財源の見直しについては、以下に定めるところにより行うものとする。
- 道路整備に対するニーズを踏まえ、その必要性を具体的に精査し、引き続き、重点化、効率化を進めつつ、真に必要な道路整備は計画的に進めることとし、19年中に、今後の具体的な道路整備の姿を示した中期的な計画を作成する。
特に、地域間格差への対応や生活者重視の視点を踏まえつつ、地方の活性化や自立に必要な地域の基幹道路の整備や渋滞解消のためのバイパス整備、高速道路や高次医療施設への広域的アクセス強化など、地域の自主性にも配慮しながら、適切に措置する。 - 20年度以降も、厳しい財政事情の下、環境面への影響にも配慮し、暫定税率による上乗せ分を含め、現行の税率水準を維持する。
- 一般財源化を前提とした国の道路特定財源全体の見直しについては、税率を維持しながら、納税者の理解を得ることとの整合性を保ち、
- 税収の全額を、毎年度の予算で道路整備に充てることを義務づけている現在の仕組みはこれを改めることとし、20年の通常国会において所要の法改正を行う。
- また、毎年度の予算において、道路歳出を上回る税収は一般財源とする。
- なお、以上の見直しと併せて、我が国の成長力や地域経済の強化、安全・安心の確保など国民が改革の成果を実感できる政策課題に重点的に取り組む。その一環として、国民の要望の強い高速道路料金の引き下げなどによる既存高速ネットワークの効率的活用・機能強化のための新たな措置を講ずることとし、20年の通常国会において、所要の法案を提出する。
世界の道路事情
モンゴルの生活道路建設の支援<6>完
前号(68号)のつづき
「JICA草の根技術支援」の一環として、モンゴルにおける「軽交通舗装のマニュアル」づくりおよび失業者対策としての住民参加の実施工を行ってきましたので、その内容をご紹介します。
SAKAI news前号はこちらモンゴルという国
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雄大な空と大地
首都ウランバートルは他国の文化を貪欲に取り入れ、どんどん変化していますが、地方は本で得た知識そのままです。
司馬遼太郎のモンゴル紀行や開高健の釣り紀行等で、ボンヤリ理解していましたが、行ってみれば悠久の地。やはり素晴らしい。
最近のモンゴルでの話題は、英雄チンギスハンへの熱い想いと、大相撲への熱烈な声援です。
大相撲はBSで同時放送され、モンゴル人が日本の放送と同じように解説しています。役所も民間会社も場所中はテレビの前は観戦者で一杯です。
社会主義時代にはチンギスハンのような英雄の調査研究は許されませんでしたが、民主化された現在は、チンギスハンの名前や肖像画は街中に溢れています。
日本の作家の何人もがチンギスハンの小説を書いていますが、現在、日本経済新聞に連載している堺屋太一の「世界を創った男 チンギス・ハン」の中に約800年前の食事の場面がたくさん出てきます。この食べ物は今も伝えられています。
心温まる“ふれあい”を胸に
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地元の人達との野外食事会
この報告の最後にモンゴルで食べた思い出の料理を紹介しましょう。
ウランバートルでは食の世界は多様化しており、中華・韓国料理店をはじめ日本・イタリア料理、最近は本格フランス料理店もできました。
しかし地方にでると、モンゴルの人達が普段食べている食事に出合えます。
一昔前にはあまり肉は食べなかったそうです。遊牧民は羊や山羊の乳が出る時期は乳製品を主に食し、乳のでない時期に肉を食べると聞きました。アルコール度数の低い馬乳酒は大変おいしく、また飲みたい飲み物の一つです。
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にぎやかな食卓
地方の食堂に行きますと、餃子のようなボーズ、ピロシキのようなホーショール、サラダは人参、キャベツ、ポテトなどがあり、小麦粉を使った、日本ほどコシのないうどんも多く、地元の人達はミルクティーをたっぷり飲みながら、これらの食事を楽しんでいます。
私達プロジェクトが一昨年、バガヌールで軽交通舗装を施行した折、地元の人達が感謝の気持ちを込めて、我々を野外食事会に招待してくれ、ヘルレン川の畔にあるキャンプ場で山羊一頭を丸々料理してくれました。
山羊の内臓料理は、胃、肝臓、心臓など内臓すべと、血液・脂身を小腸・大腸に詰めてソーセージ状にしたものを、一緒に大鍋で岩塩をたっぷり加えて茹で上げます。アクがブクブク沸き立ってもそのままです。(写真A)ざるにあげてできあがり。小型ナイフで切り分けながら皆で食べます。アルヒ(ウォッカ)を飲みながら。
一方、肉料理は圧力釜を使います。こぶし大の石を十分に焼き、圧力釜に敷き詰めます。その上に切り分けた肉を並べ、また焼いた石を並べます。今度はこの上にジャガイモを載せ、また石を並べて肉を置きます。(写真B)
調味料は岩塩と最近市販されている香辛料の粉末を少し入れるだけ。あとはフタをして、内と外から蒸し上げます。肉は大皿に盛り、使った焼き石は熱いうちに両手のひらの上で転がすと、無病息災に効くと全員がやります。
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山羊の内臓料理
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山羊の肉料理
肉を頬張り、アルヒを飲んで宴は盛り上がりました。
この料理は彼等には年に一度あるかないかのご馳走だそうです。彼等は我々が別れを惜しんで帰った後も、約20人で大きな山羊一頭を、酒を飲みながら食べ尽くしたそうです。
今回の技術援助は成功裏に終わり、JICAもその成果を評価してくれました。施行からマニュアルづくりまで、全て現地の人達を中心に据えて行ったからでしょう。
最後にJICAに期待しているところですが、今回の技術援助が確実にモンゴルに根付くため、次はモンゴル全土での案件を実施できればと願っているところです。
(おわり)
<酒井重工業(株)監査役:小黒幸市>