道路舗装の環境対応「排水性舗装」

排水性舗装急速な広がりを見せる

  • 密粒度アスファルト舗装
  • 排水性舗装

最近、一部の高速道路や、一般国道幹線の走行が滑らかで、騒音が少ないことにお気づきだろうか。
これは、国土交通省、日本道路公団が1988年から本格導入した道路舗装の高機能化政策によるもの。中でも「排水性舗装」は、その機能上から、整備拡充が急速に進んでいる舗装技術である。

  • 排水性舗装・従来舗装

    国土交通省が進める排水性舗装。
    右が施工後、左が従来舗装(資料:同省)

排水性舗装とは、従来の水を通さない密粒舗装に比べ、小粒径の骨材を減らして生じた、舗装内部の空隙を利用して、空気の圧縮・膨張(騒音)の抑制や、雨水を通し(排水)流すようにした舗装体のことで、見た目にも「雷おこし」の断面のようだ。
これで道路沿線の騒音を低減し、雨中の走行安全を確保する。

騒音低減は3~5dbの効果があり、この数字は、現状走行車両量の約50%分を減らした通行量と同じレベルといわれている。
また、雨中の安全走行では、水たまりができにくくなることから、

  1. タイヤが浮き上がるハイドロプレーニング現象を防げる
  2. ブレーキの利きの低下を防げる
  3. 水はね等で起こるスモーキング現象が防止でき視界が良好、路面の標識もくっきり見える
  4. ライトによる反射も少ない

等の効果があり、実際、交通事故件数は排水性舗装に切り替えたか所で激減している。

課題は高機能の回復維持技術

  • 排水性舗装

    排水性舗装

排水性舗装の性格上、特殊な工法であるため、施工は高度な技術を必要とする。
通常より高温のアスファルトを、しかも、短時間(アスファルトの温度が下がる前)で所定の品質を確保しながら敷き均さなければならない。
しかし近年、この技術を補完する水平振動ローラ(上下の振動ではなく、路面に対して水平方向に振動させる。表面骨材の平坦性も良くなり、排水性舗装の転圧に適する)などが開発され、施工技術は格段に向上した。

トータルコスト低減へ新提案に期待

  • 排水性舗装

残る課題は機能の回復・維持である。ゴミや土砂、タイヤの粒子で空隙が詰まれば、それだけ機能は低下する。普通、舗装は7~10年で打ち替えると言われているが、その前に機能が失われれば、高機能の意味が無くなる。
舗装の打ち替えまで、どのようにして機能を維持するか、また、長寿命化やトータルコスト低減のためのメンテナンスが必要となる。
道路機械メーカーも機能回復維持機(舗装深くまで洗浄できるような機械)の開発に様々な努力を行ってきている。

  • 低騒音対策舗装敷設延長の推移

    国土交通省が進める道路の低騒音対策舗装。
    平成11年度から4カ年で2.7倍以上の進展を見せている(資料:同省)

本格導入から10年余、急速に拡大する排水性舗装。
施工面積も開発当初から約8,000万m²を経過、少なくとも今年度以降でも、年間で推計2,000万m²(おおよそ延長500~750km)の施工が視野に入りつつある。
環境に優しく、安全性の高いことから、次世代の舗装体として大きな期待が寄せられているだけに、早い時期に回復維持能力とコストの低減効果を合わせ持った、施工機械の開発、実施工が待たれるところである。

()創建市場調査部 資料提供:建設技術新聞

排水性舗装機能回復車CJ500発売キャビテーション洗浄方式を採用

SAKAIはこのたび、排水性舗装機能回復車CJ400シリーズをモデルチェンジ。画期的な機能を付加するとともに、作業性能も大幅にアップさせ「CJ500」として新発売いたしました。

道路舗装における排水性舗装の施工面積の拡大を受け、今日まで、その優れた機能を回復維持させるための様々な方法が検討されてきています。
しかし、上層部の空隙に入ったゴミ、土砂、タイヤゴムの粒子などは取れても、下層部まで堆積した物はなかなか除去できませんでした。
当社もCJ400の開発時から、様々な条件の施工試験を繰り返し、経験と実績を積んできました。そして、研究を重ねた結果、下層部や骨材裏側のゴミ、土砂を除去することを可能とし、さらに一度に多くの量も除去できる、優れた方法を開発いたしました。それが「キャビテーション洗浄方法」です。

この機能を備えた「CJ500」は、回復維持の性能と作業性の向上や、回復維持工事のコスト低減ばかりでなく、道路建設のトータルコスト低減にも寄与するものと期待しております。

  • 排水性舗装機能回復車

    排水性舗装機能回復車

主な特徴

  • 高い作業能力
  • キャビテーション洗浄と、V型高圧水洗浄の相乗効果で高い洗浄能力を発揮します。
  • ブロア吸引と、高真空吸引の組み合わせにより、吸引力も大幅に向上しました。
  • 広範囲な作業性
  • 低速(0~3km/h)作業から高速(~10km/h)作業まで、幅広い作業速度が選べます。
  • 作業装置は左右、各650mmシフトするので、サイドでの作業が楽に行えます。
  • 回収汚泥水から土砂のみを分離回収できます。

キャビテーション現象

静止した液中に高速で液が噴射された時に、無数の気泡状の空洞(キャビテーション気泡)が発生する現象。キャビテーション洗浄とは、その気泡が消滅(崩壊)する際に発生する大きな衝撃圧力を、空隙詰まり物質の洗浄に利用したもの。

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