ローラオペレーターの危険再認識教育
厚生労働省が平成15年4月8日付で通達(基発第0408006号)した「ローラ運転業務従事者危険再認識教育について」(SAKAI news第45号・平成15年3月号既報)に関して、いよいよ、この4月から事業が実施されることとなりました。
労災防止へ万全期す
危険再認識教育の実施は、車両系建設機械の運転業務中による死亡率が、平成9年から13年までの5年間でドラグ・ショベル系325人ローラが50人と、平成11年の新車購入台数がドラグ・ショベル系7万858台、ローラ3305台などの数値から見ても、死亡災害発生率ではローラが最も高いという結果を重要視したものです。
締め固め用機械は、構造的に他の建設機械と比べても多岐にわたり、耐用年数も長いため、リジット式、アーティキュレート式、機械式、トルコン式、油圧式等々の様々な機種が、大小含め長期間にわたり混在して使用されています。災害発生の背景には、このようなそれぞれの機械が持つ特性の無理解に一因があると言われています。
そのため、もう一度、機械構造や作業の特徴・特性を正しく理解し直し、災害防止へ万全を期す必要があると認識されるようになりました。
特別教育修了者を対象に4月から指定教育機関で実施
本受講対象者は、ローラの運転業務に係わる特別教育の終了後、おおむね10年以上を経過し、同運転に従事している方となっています。
実施教育機関は、ローラの運転業務に係わる特別教育を実施している者であって、車両系建設機械「(整地・運搬・積込み用および掘削用)、(解体用)または(基礎工事用)」運転技能講習に係わる指定教育機関に限定され、講師の資格も別途に定められています。
カリキュラムは、実技主体の教育で、学科教育2時間30分、実技教育3時間40分。内容の細目も規定されています。
内容
学科 | ローラによる災害と技術動向等 |
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実技 |
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※この教育は、車両系建設機械運転業務等危険有害業務に従事する者に対する安全衛生教育(労衛法第60条の2第2項)とは、内容の異なる別個の教育です。
世界の道路事情
アルメニア編<上>
今回は、昨年10月に切削機(ER550F)を納入指導したアルメニア共和国の道路事情を紹介します。
アルメニア共和国は、西にトルコ、東にアゼルバイジャン、南にイランと接した位置にあり1991年9月、ソビエト連邦共和国崩壊の渦中に独立した旧ソ連の中でも最も小さな国です。
この国の歴史は古く、西暦301年には世界ではじめてキリスト教を国教とした国として成立しています。
日本の関東地方より少し小さいくらいの国土面積に、約380万人の人達が暮らし、そのうち、120万人が首都・エレバンに集中しています。そして、領土の90%が標高1,000m以上の高地で、四方を高い山々に囲まれた盆地になっています。都市部以外は、荒涼とした大地が広がり、現在は、灌漑設備と植樹作業が精力的に進められています。
そして、日本の富士山のようにアルメニア人の心の故郷として慕われている山がアララト山。旧約聖書にもでてくる、あのノアの方舟が漂着したと言われている山です(標高5,165m、現在はトルコ領)。
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アララト山(右5,165m)と小アララト山(左3,914m)。小アララト山でも富士山より高い。
軍事道路の名残り痛みがひどく未整備
市内中心部の古くからある道路の一部には、まだ大きな六角形の石を敷き詰めた石畳が残っていますが、残念ながら痛みが激しく、順次アスファルト舗装にとって変わっています。
それでも、市街の道路は道幅がとても広く(20m以上の道路が多い)、これは、旧ソ連時代に軍事目的で造られたためだそうですが、ソ連崩壊以降はほとんど整備されていません。道路のあちこちに穴があったり、オーバーレイの連続で、盛り上がりがったり、マンホールが下がりすぎて孔のようになってしまったりと、部分的な痛みが点在しており、その範囲も広範囲にわたっている状況です。
雨が少なく、L型縁石が不要
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切削工事風景
また、雨が少ないことから、日本のようにL型の縁石がありません。このため工事は、縁石一杯までの切削が必要で、サイドカバーを上げ、縁石ギリギリまでのフラッシュカットができ、ブレーカーによるハツリ作業を省略できることが、大きな要望性能だったようです。
さらに、この国の輸送事情にもよるのでしょうが、自走回送能力を生かした機動性のあるホイール式のタイプが重宝で、経済的であることも、この国の事情にあっていると大変喜ばれました。
(次号につづく)
<海外営業部:小高>