「アスファルト舗装工事施工体制研究会」提言
舗装工事施工体制の将来像を検討
第2章 舗装工事の課題
施工者側の問題
- 過剰な舗装業者数
- 企業形態の変化
舗装業者数の過剰は事業量減少局面では過当な価格競争を招く。このような状況下では企業収益が低下し、技術開発、人材育成などの将来に向けた投資を困難とするとともに、充実した技術部門を有する企業においては、その体制を維持するコストのため、かえってその競争力が相対的に低下するおそれがある。
昭和40年~50年代までは、ほとんどの舗装業者は主として自社で直接施工していたが、前記の繁忙、端境期対応、賃金の地域差対応等の目的で、多くの企業が施工部門を子会社化したり、外注化するなどしている。
発注者側の問題
公共工事の発注者は適正な価格のもとで公共工事の品質を確保する発注者責任を有している。このため、すべての発注者が工事の内容や難易度に応じて適切な施工能力を有する業者を適正に選定する必要がある。
施工能力の低い業者であっても、施工実績が蓄積されることとなり、次の受注機会を得、結果として施工能力の低い業者が受注機会を得続けることになる。したがって、施工実績のみで評価することなく、発注者自身が業者の施工能力を見極めることが求められる。
望ましい直営施工一括下請を排除し明確な管理体制で
第3章 望ましい施工体制
工事現場の施工体制
舗装工事の確実な実施のためには、資格や経験を有する優秀な技術者と能力の高い技能者を必要な人数確保できることが重要である。また、施工に際しては、技術者と技能者のチームワークが大切であり、技術者の指示が徹底できることも重要である。
前記を実現するためには、施工を外注する場合には、一括下請負を厳に排除するとともに、元請会社が完全に責任を負える管理体制を敷くことが重要である。
舗装会社の体制整備
- 企業経営と良好な施工体制確保の両立
- 施工部門の体制整備
- 舗装技術の維持・向上
厳しい受注競争の中では、舗装業者が自社の施工部門を維持・確保するにはコストを必要とするため、競争力が相対的に低下するおそれがある。このため、適正な施工を確保するためには、良好な施工体制がとれる業者が競争において生き残れる仕組みが必要とされる。
工事実施面、技術面では直営施工が望ましい形態である。
子会社等を活用する施工形態とすることは企業経営の観点からは合理性があるが、責任体制が明確でそれぞれを役割が適正に果たせる現場の体制であることが重要である。
外注する場合の相手会社は、管理と施工の観点から、関連会社や元請会社の作業拠点に所属している会社など、恒常的な協力関係にある会社が望ましい。
舗装業界に求められるものは個々の工事の施工に加え、技術開発、生産システムの改革によって一層の高品質、高機能、低コストの実現を図ることである。
舗装会社としての技術力の保持、向上の観点からは、すべての受注工事では無理であっても、一部の工事では直営(連結子会社を含む)で施工しているという状態が望ましい。
第4章 望ましい施工体制の現実に向けた発注者側の方策
施工者の体制の普段からの把握
発注者側が事前に把握すべき情報
- 管内に配置された技術者の状況
- 作業拠点の配置状況
- 施工機械、合材工場の配置状況
- ISO9000シリーズなどの品質管理体制
施工者の技術力を評価できる発注方式の導入
平成13年6月「舗装の構造に関する技術基準」が制定された。
施工者の技術提案を求める「性能規定方式」、価格競争のみではなく工期、品質等の技術力も合わせて評価する「総合評価方式」等の方式を積極的に導入する。
業者選定
業者選定の段階で対象となる工事についての施工能力の評価をより適切に行うこととする。この場合、発注者が選定基準を明らかにすることが重要である。
現場の点検
不良不適格業者の排除の観点から、建設業法、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律にもとづく現場の点検を的確に実施する。
平準化
繁忙期と端境期の差をできるだけ小さくするため、年間を通じた工事の平準化に努める。
第5章 望ましい施工体制の現実に向けた施工者側の方策
発注者への施工体制についての情報提供
定期的に各管内の技術者、施工部門の配置状況等について発注者に情報を提供する。
施工体制の整備
現在直営施工部門を有する社はその保持に努めるとともに、協力会社等を活用する場合でも普段からの協力体制を確保し、直営施工並みの対応が可能な施工体制を整備する。
工事現場の施工体制の適正化
建設業法等の法令を遵守し、一括下請負等の法令違反を行わないようにしなければならない。
技術の維持・向上
技術レベルを向上させるために舗装施工管理技術者等の資格の取得を推進するとともに、品質管理の向上のため、ISO9001の取得、活用を推進する。
地域貢献
建設業は地域との関わりの中で仕事を行っているという観点から、災害対応等も含め地域への貢献が求められる。特に、災害時の対応は地域の事情に通じた施工部門を現地に有していなければ実際の支援は不可能であり、その意味からも普段からの地域における施工体制の整備が重要である。
この提言書は舗装工事の望ましい施工体制を構築するための方向性を示すものである。
舗装会社の体制は地域によって異なるが、舗装事業を取り巻く環境の厳しさにかんがみ、発注者・舗装会社とも可能な対応を早急に行い、望ましい方向に向けた第一歩を躊躇することなく踏み出さなければならない。
低騒音型建設機械指定基準
(89年規制)猶予期間終了について
昭和58年(1983年)
10月
旧建設省-「低騒音型建設機械指定制度」を導入
平成3年(1991年)
基準値(89年規制)の見直し
平成9年(1997年)
10月
環境庁-騒音規制法の施行令を改定
旧建設省-「低騒音型建設機械指定制度」を改定し、新測定法、新騒音判定基準値による指定を開始
平成14年(2002年)
9月30日まで
旧基準(89年規制)で指定されている低騒音型建設機械について、5年の猶予期間終了
酒井重工業は、環境対策方針に沿って、排出ガス対応型エンジン搭載とともに、騒音対策にも順次対応を行ってきました。また、弊社において排出ガス対応エンジン載せ替え機械は、排出ガス対応指定を取ると同時に、低騒音新基準の指定を取得しています。