15年ぶりの凍上災害
東北地区工事現状報告
凍上災害とは、冬季に道路地盤に浸透した水が凍結し、凍上現象を起こし、道路の機能を維持できなくさせる災害で、次の2種類があります。
- 冬季の低温によって道路の地盤中に大きな霜柱が発生して、地面が隆起し、道路舗装にひび割れなどが発生する災害。
- 春の融解期に起こる道路地盤の支持力低下により、道路舗装面に局部的な沈下と亀甲状のひび割れが発生する災害。
凍上現象は、北海道や東北地方はもちろんですが、四国や九州地方の暖かい地域でも冬期間に低温気象にさらされる山岳地帯などに発生します。
このような凍上災害が発生すると、道路舗装面の平坦性が悪くなり、ひび割れた舗装の一部がはがれ、通行に支障をきたす恐れがでてきます。
-
凍上現象により機能低下した路盤
東北地方で復旧工事相次ぐ
東北地区では、去年の1月~2月にかけて、冬型の気圧配置となる日が例年より多く、平均気温が平年を1.0℃以上、下回りました。
この結果、低温気候による凍上現象が発生、道路交通に支障をきたしたことから、北日本各地の自治体から国に対して災害適用の申請が相次ぎました。
凍上災害復旧事業による対応は、昭和61年以来15年ぶりで、凍上災害復旧工事予算は東北6県で約一千億円強の予算が出ており、特に福島県が二百億円強ともっとも多くなっています。
打換えや、スタビ工法で対処
凍上災害復旧工事の工法としては、打換え工法とスタビ工法の2種類があります。
- 打換え工法とは、舗装の破損が著しく、他の工法では良好な路面を保つことが出来ないと判断した場合に、破損した舗装の一部あるいは全部を取り去り、新しく舗装し直す工法。
- スタビ工法とは、舗装を破砕し、路盤とともに路上で混合し、各種添加剤を加えて安定処理し、新しい路盤として再生し直す工法。
福島県や岩手県では、主にスタビ工法で施工されていますが、打換え工法で施工されている場所もあります。
このように、本格的な冬季を迎えた東北地方では、現在、凍上災害復旧工事が盛んに行われています。