道路構造令の一部を改正する政令について
安全対策を明確化平成13年7月1日施行
歩行者等交通弱者に優しい道づくり
改正の背景
国土交通省では、車道を中心として道路全体の構造を定める現在の考え方を改め、歩行者、自転車、路面電車等の公共交通機関、緑及び自動車のための空間をそれぞれ独立に位置づけるとともに、これらが互いに調和した道路空間となるよう、道路構造の再構築・見直しを図るため、道路構造令の改正を行う。
概要
- 自動車から独立した歩行者・自転車の通行空間の確保
- 公共交通機関(路面電車)の通行空間の確保
- 「緑」空間の増大
- 植樹帯を設置すべき道路の対象を、現行の第4種第1級の道路から第4種第2級の道路まで拡大し、都市部の幹線道路(2車線道路を含む)には、原則として植樹帯を設置する。
自動車の他に、自転車や歩行者それぞれの交通主体の通行のあり方に着目して、自転車道、自転車歩行者道及び歩道の接地要件を明確化するとともに、歩行者の交通量に応じて幅員を定めることとする。
また、日常生活において利用される住区内道路(1車線道路)においては、必要に応じて自動車の速度を抑制させるためのハンプ(路面の凸部)、狭さく等を設置する。
路面電車の通行空間である軌道敷、路面電車等から乗降する者の安全を確保するための施設(交通島)を位置づけることにより、路面電車、自動車及び歩行者等の安全な通行を確保する。
植樹帯を設置すべき道路の対象を、現行の第4種第1級の道路から第4種第2級の道路まで拡大し、都市部の幹線道路(2車線道路を含む)には、原則として植樹帯を設置する。
道路交通騒音の低減、集中豪雨時における都市型水害の発生の抑制等に資する「透水性」舗装を都市部の道路に導入する。また、舗装技術の進展を踏まえ、舗装材の種類による仕様規定を改め、材質を問わず、所要の性能を満たせば良いこととする性能規定とする。
閣議決定日
平成13年4月20日(金)
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交通弱者に優しい道路
透水性舗装 普及へ
以上が、今回の道路構造令の一部改正(平成13年7月1日に施行)ですが、次に掲げる4点は、これらの補足の説明となるものです。
概要1
今までの、自動車の交通量を中心とした道路主体の構造を定める考え方から、歩行者や自転車のための安全を確保した歩道及び自転車道の設置等、交通弱者基準の安全対策を導入した道路づくりを目指した施策といえます。
具体的には、それぞれの交通量の多い道路では、両側に歩道と自転車道を設置する。歩道と自転車道を一緒にする場合は、歩行者の多い道路では、幅員を4m以上確保して、歩行者の安全を確保する。車椅子でも安全に通行できるよう、路上施設・横断歩道橋などがある場所では、さらに最大3m、幅を広くすること。また、住宅地の生活道路(1車線道路)において、歩行者の安全を確保するため、自動車が速度を上げられないよう、車道の一部を狭くしたり、ジグザグ状にしたり、凸部を設置できるようになった。
概要2
路面電車を安全かつ円滑に運行出来るよう、単線の場合は3m、複線の場合は6mの幅を確保できるよう求めた。また、乗降者と自動車の接触を避けられるよう、道路上に島を設置することとした。
概要3
植樹帯の対象路線を拡大し、緑の確保を目指す。
特に交通量の多い都市部の幹線道路でも原則設置とし、環境対策を強力に進めることとなった。
概要4
都市部の車道(トンネル部分を除く)・歩道・自転車道に透水性舗装を採用することとなった。
透水性舗装により、雨水が地面に浸透するため、都市型水害や各道路上の水たまりの抑制に加え、植樹帯への灌水、また、同舗装による交通騒音低減が期待される。舗装の施工は、従来の仕様規定発注方式から、施行業者の技術力が活用できる性能規定発注方式に改められることになり、舗装材質にとらわれず、都市部の温暖化現象(ヒートアイランド)抑制に効果のある透水性舗装の明色化等の施工も可能になる。