お客様とともに90年 No.3

サカイの歩み1918年~2008年

小型締固め機械の歴史

質量1t前後、あるいはそれ以下のいわゆる小型締固め機械は、戦後早くから欧州で使われており、我が国へも輸入され需要が拡大していました。
このような状況下で、1969年(昭和44年)、旧西ドイツのローゼンハウゼンマシーネンバウ社と技術提携し、写真1に示すVVW3400型(質量900kg)ハンドガイドローラ(両輪ロール振動)を開発しています。

  • VVW3400型

    (写真1)

本機は、当社が開発した最初の小型締固め機械となります。
その後、シリーズ化を進めるべく試作を行っていましたが、1973年(昭和48年)に始まった第1次オイルショックの際に、大型機の不振に比べ、小型機の需要がそれほど落ち込まなかったことを受け、小型機の拡販を重点施策として写真2に示すSV6型(600kg)、SV10型(1,000kg)という当社独自技術のハンドガイドローラを開発しました。
SV6型は起震機が一軸偏心式で、車体中央に設置(フレーム振動)され、また、SV10型はこの振動機構の他に、前後進機構を機械式から油圧モータ式とし、スムーズな動きが出来るようになりました。

  • SV6型

    (写真2)

1994年(平成6年)には、世界に先駆けて油圧モータをロールに組み込んだ完全油圧駆動方式のHVシリーズを開発しました。これにより、ロールをチェーン駆動する部分がなくなり、両サイドのクリアランスをギリギリまで少なくすることが可能となりました。また、2000年(平成12年)には、より作業性を向上させたステアリング機構付きのHSシリーズを開発しました。

完全油圧駆動方式を先導

プレートコンパクタに関しては、1978年(昭和53年)に4サイクルエンジン搭載のPC7型(70kg)を最初に開発(写真3)し、その後PC8型(80kg)、PC6型(60kg)、PC4A型(40kg)を相次いで開発し、プレートのバリエーションを増やしていきました。

  • PC7型

    (写真3)

さらに、時代のニーズに応えて静音プレート、散水装置付、当社独自の反転プレート、ワンタッチオープン式のベルトカバーを開発してきました。また、前後進プレートに関しては、1988年(昭和63年)にPF500(80kg)を開発し、海外のニーズに応える形でバリエーションを増やしてきております。

  • VT6型

    (写真4)

ランマについては、1982年(昭和57年)にVT6型(60kg)の開発(写真4)に着手しています。
本機では当時主流だったベルト掛け方式やエンジン直結グリス方式ではなく、現在の主流であるエンジン直結オイルバス方式を採用しました。開発当初は、2サイクルエンジンしかありませんでしたが、取扱いが容易で、環境にもやさしい4サイクルエンジンに切り替えを行ったり、ハイジャンプ仕様などのバリエーションを増やしていきました。
その後、低重心でハンドリングが容易なRVシリーズ、安定した打撃力と手元振動の低減を図ったRSシリーズへと引き継がれて、現在に至っております。

切削機、スタビライザの歴史

小型締固め機械の歴史に続き、ここでは道路補修で活躍する路面切削機(以降、ロードカッタ※1と呼ぶ)と、ロードスタビライザ※2の開発の歴史を紹介します。

田中内閣による日本列島改造計画が都市再開発と鉄道、高速道路網を拡大させた1972年(昭和47年)、自動車交通量の激増と、車両の大型化などにより、舗装面のわだち掘れや破損が著しくなる中、道路補修を目的に写真5に示すロードカッタER160型が開発されることとなりました。従来、舗装面の補修には、舗装面を加熱後にグレーダなどで剥ぎ取りを行い、その後、再舗装する方法がとられていました。
しかしながら、これらの工法はコスト高となるうえ、非効率で補修割合の増加に対応できない状態でした。このような状況に鑑み、前述したER160型は路面切削部と走行部が一体のホイール式で、車両中央部に位置した切削部はロータリカッタを採用しています。これにより、早期切削と早期交通開放が可能となり、ロードカッタの基本構造としてこれ以降の開発機に踏襲されています。

  • ロードカッタER160型

    (写真5)

  • お客様とともに90年 No.3

    (写真6)

一方、路面切削作業における切削廃材の処理は、当時、積込み用ショベルローダと運搬用ダンプトラックの組合せで行われており、2車線の交通制限が必要との理由により、著しい交通渋滞を招く原因となっていました。このため、1982年(昭和57年)に現在のロードカッタの原型である切削機能と廃材集積・積込み機能を1台に集約したER300型(写真6)を開発・市場投入しています。
その後、ERF600型(1987年)、ER750CF型(1993年)などの開発を経て、現行機ER552F型(2006年)に至っています。

特にERF600型以降の全ての製品に適用されている切削深さ制御、並びに横断勾配制御を可能とするACCS(オートマティックカッタコントロールシステム)は、これまでの切削精度や、作業効率の飛躍的な向上に寄与できた特筆すべき機能といえます。

ロードカッタ ACCS機能を開発
ロードスタビライザ 市町村道対応機も

ロードスタビライザに関しては、1958年(昭和33年)の道路整備5カ年計画や高速道路建設に合わせて、路床・路盤の改良需要が拡大したことで、自走式ロードスタビライザPM201型を開発しました。
本機は先行して開発した被けん引式ロードスタビライザPM103型に比べ機動性、施工性が飛躍的に向上しており、この3年後に開発されたソイルセメント安定処理のほか、路盤材の粉砕および乳剤散布・混合を1台の機械で行えるPM203型へ引き継がれています。

  • PM170型

    (写真7)

また、1977年(昭和52年)には、日本国内の顧客ニーズをもとに、高い機動性が得られるホイール式、撹拌・混合深さ400mmおよび市町村道で使用できるサイズに主眼を置いたPM170型(写真7)を開発しています。撹拌・混合作業装置部(ロータ)を車両中央部に設置し、左右へのシフト機構を装備した本機は、以後開発される機械の原型として位置付けられています。

市場ニーズに伴い性能向上している現行の主なロードスタビライザは、PM450型(1989年開発)、PM500型(1994年)であり、長年、幅広く施行現場で使われています。

以上、ご紹介したSAKAIの小型締固め機械ならびにロードカッタ、ロードスタビライザは、酒井重工業の製品群の中でもお客様に使用していただいた歴史の長い機械です。

今後も、製品品質の向上に加えて、環境に配慮した安全で安心な製品を提供していく予定です。

※1 老朽化した路面表層部分を切削する機械
※2 軟弱な路床・路盤に添加剤を加え、撹拌・混合し、再生させる機械

FIFAクラブワールドカップ2008

アデレード・ユナイテッド(オーストラリア)の胸でSAKAI HEAVY INDUSTRIES, LTD.のロゴが弾むNo.2

前号で『ユニフォームの胸に「SAKAI」のロゴが描かれているオーストラリアのアデレード・ユナイテッドというサッカーチームがアジアチャンピオンズリーグに出場している』と紹介しましたが、結果は決勝戦で敗れたものの2位という好成績でした。(1位はガンバ大阪)
そして、この2位という成績によって、昨年12月11日から開催されたFIFAクラブワールドカップにも出場し、再び日本でプレーする機会を与えられました。結果はまたしてもガンバ大阪に敗れ、5位という成績でしたが、日本でプレーすることなど想定外でしたし、よく健闘してくれたと暗いニュースが多い中、社員一同大変喜んでおります。

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